労働災害を減らす!理学療法士による体力チェック&運動指導の重要性

1.はじめに

最近の労働現場では転倒や腰痛などの労働災害が増加しており、4日以上休業した人数は過去20年で最多となっています。このうち転倒が27%と最も多く、次いで腰痛などが16%を占めています。(厚生労働省:「令和4年労働災害の発生状況」より)。
転倒アクシデントの発生は、女性や中高年の従業員に多く発生している傾向にあります。
また腰痛の発生は、若年層から中高年齢の従業員まで幅広い年齢層で発生する特徴があります。

これらは、従業員の体力の低下やコンディション不良が原因となっていることが多く、企業にとって従業員の健康と安全は極めて重要です。強く健やかな身体作りとコンディションの維持は、作業効率の向上や労働災害の予防に直接的に寄与するでしょう。

この記事では労働安全衛生に関わってきた理学療法士×作業管理士の立場から、従業員の体力チェックが労働災害の削減にどのように貢献するかについて説明していきます。

2.体力チェックの必要性

従業員の体力とコンディションは職場の生産性と密接に関連しており、安全な作業環境の整備にも大きく寄与します。

これは肉体労働を主とする生産現場だけの問題ではなく、動くことが多い職場、立ちっぱなしの職場、または動くことがほとんどない職場など、ほとんどの職場に当てはまります

極端な体力不足やコンディション不良があれば作業に従事するリスクが高まることになります。
また、体力の低下は疲労、注意力の散漫、判断ミスなどを引き起こし、労働災害発生のリスクがさらに高まります。

理学療法士による体力チェックでは、従業員の体力レベルを正確に評価し必要な場合は個別に適切な運動計画を提案します。評価した体力を基準とすることで、その日その日のコンディションを確認することが可能になります。

スポーツ選手がトレーニング前やゲーム前にコンディションチェックをするように、作業に従事する前にコンディションチェックを行う習慣が必要なのはおわかりいただけるかと思います。

これにより、従業員一人ひとりが最適な体力とコンディションで作業に従事できるようになり、労働災害のリスクを軽減することが可能になります。

現代の労働環境では多くの健康リスクを内包しており、特に転倒や腰痛などの労働災害は従業員の健康問題に大きな影響を与え、企業の生産性にも悪影響を及ぼすとされています。こうした背景のもと、作業現場における体力チェックの重要性が高まってきています。

転倒や腰痛の予防

理学療法士による体力チェックを実施することで、特に転倒や腰痛を引き起こすリスク要因(カラダリスク)を早期に特定し、予防策を講じることができます。

生産性の向上

体力の向上は、従業員の作業効率を高めることに直結します。適切な体力レベルは、日々の業務をスムーズにこなすための重要な要素です。

健康意識の高揚

定期的な体力チェックを行うことで、従業員自身が自らの健康状態に意識を向け、より健康的なライフスタイルを取り入れるきっかけになります。

従業員の体力をチェックし適切な運動指導を行うことは、カラダリスクを減らし、単に健康を維持するだけではなく安全で生産的な職場環境を構築するための重要なステップになります。

法人企業として、従業員の健康管理はただの福利厚生を超えた企業の責任となっています。従業員一人ひとりの健康が、企業全体の生産性とブランドイメージに直接的な影響を及ぼすからです。
そのため、カラダリスクを明確にする体力チェックは以下に示す重要な役割を担うといえるでしょう。

企業の法的責任の遵守

労働安全衛生法などの法的要件に対応し、企業としての義務を果たす。

リスク管理

労働関連の健康リスクを予防し、長期的な人材確保と企業リソースの保全に貢献。

従業員のエンゲージメント

従業員が健康面でのサポートを受けていると感じることで、職場への帰属意識やモチベーションが高まる。

企業文化の強化

健康と安全を重視する企業文化を築き、従業員の満足度と勤続年数の向上につながる。

従って、体力チェックは単に健康面の利益だけでなく企業運営の戦略的な視点からも極めて重要になってきます。

人的リソースの有効活用:
理学療法士による専門的なサポートを活用することで、社内のリソースをより効率的に配分し従業員の健康と安全を維持することができます。

長期的な投資の価値:
この取組みは、従業員の健康を守り生産性を高めることで中長期的な企業価値の向上に貢献するでしょう。

3.体力チェック項目の実際

転倒予防のための体力チェック項目

バランス能力の評価

片足立ちテストやバランスボードを使ったテストで、安定性と協調性を評価。

下肢の筋力評価

スクワットやレッグプレスのような運動で、足腰の筋力をチェック。

敏捷性と反応速度

素早い動作や、方向転換を含むテストを実施し、反応速度を評価。

腰痛予防のための体力チェック項目

コア筋群の強化

プランクやクランチなどで、腹筋や背筋の力を評価し、サポートが必要か判断。

姿勢の評価

正しい姿勢を保持するための運動とストレッチを行い、姿勢のバランスをチェック。

柔軟性の評価

前屈や脚のストレッチで、体の柔軟性を測定し、腰痛やケガ予防のための必要な運動を提案。

4. 企業が得られるメリット

メリット

労働災害リスクの減少

  • 従業員の体力把握と安全意識の高揚により、転倒、腰痛などの労働災害発生率が大幅に低下できる。
  • 定期的な体力チェックにより、潜在的なコンディション不良を早期に発見し対策を講じることが可能に。
メリット

生産性と効率の向上

  • 体力が向上することで、従業員は日々の業務をより効率的かつエネルギッシュに実践可能に。
  • 体調が良い従業員は仕事に対する集中力も高く、全体の生産性が向上できる。
メリット

従業員の満足度とロイヤリティの向上

  • 従業員が自分たちのカラダが企業によって大切にされていると感じることで、職場に対する満足度と帰属意識が向上する。
  • 健康的な職場環境は、従業員の幸福感と職場への帰属意識を向上させる。
メリット

長期的なコスト削減

  • 労働災害の減少により、労災保険料や関連コストが削減可能に。
  • 従業員の健康を維持することで、病欠日数が減少し生産的な労働時間が増加する。
メリット

従業員の健康意識と自己管理能力の向上

  • 定期的な体力チェックと運動指導を通じて、従業員は自分の体力レベルと健康状態をより深く理解し、カラダリスクへの積極的な取り組みを始めることが期待できる。
  • このような自己管理能力の向上は、従業員個々の生活の質の向上だけでなく職場全体の安全意識の高揚に寄与する。
メリット

健康意識の高い職場文化の形成

  • カラダリスクに対する意識が高い従業員が集まることで、企業全体としてもより健康的で安全な職場環境が形成できる。
  • 健康に対するポジティブなアプローチは、他の従業員にも良い影響を与え企業文化として健康意識を根付かせることに繋がる。

5. おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、労働安全衛生において体力チェックの重要性、具体的なチェック項目、そして企業が享受できるメリットについてご紹介しました。職場での安全と従業員の健康は互いに影響し合い、共に企業の成功に貢献します。
当社では理学療法士らによる体力チェックと運動指導サービスを「PACS」プログラムとして展開中です。
※PACS(Physical Assessment and Coaching for Safety)
このPACSプログラムは今後注目されていくことが間違いないでしょう。
いち早く取り組まれたい企業の方はぜひ直接ご相談ください。

今後も、健康と安全に関する最新情報や有益な知見を共有していく予定ですので、ぜひ引き続き当サイトをご覧ください。

作成:逢坂大輔(理学療法士・作業管理士)

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