職業性腰痛とは
職業性腰痛は、作業関連腰痛とも表現されており業務上の作業が原因で生じる腰痛のことを言います。
無理な作業や大きすぎる負荷などにより急激に発症するケースと、繰り返しの腰部への負担によって疲労が蓄積して発症するケースがあります。
急激に発症する腰痛は作業との因果関係が明確なため、労働上の災害性腰痛として業務上の疾病と認められることも最近では増えてきているようです。
一方、非災害性腰痛に分類される疲労や負担の蓄積による腰痛については、持ち上げ作業や中腰作業などの反復によって生じることが多く、労働者にとっての悩みになっている実情があります。
労働災害としての腰痛
休業4日以上を要する労働災害とされた腰痛発生のデータからは、
・令和4年データでは、墜落・転落を抑えて第2位の発生数になった。
・若年者から高年齢労働者まで広く発生している特徴がある。
・年齢に関わらず腰痛の発生を抑える対策を取っていくことが求められている。
【休業4日以上を要する労働災害発生数】
令和4年確定値 厚生労働省資料より作成
【発生原因】
【業種別】
繰り返しの負荷による腰痛
毎日の作業によって身体に繰り返しかかる負荷や特定の姿勢を保つことで腰への負担が蓄積し、腰痛の発症につながります。
「職場における腰痛予防指針」(厚生労働省)では腰部への緊張を減らすためにも腰部に掛かる一連続作業時間の低減や適度な休息を取り入れることの重要性が盛り込まれています。
このように、作業を通じて発生する腰痛は、労働災害と認定される腰痛と併せて職業性腰痛として現場での対策を考えていく必要性が増していると言えるでしょう。
さらに職業性腰痛による労働損失も重要視されてきています。
国内の腰痛による経済損失は3兆円※とも試算されており、なんらかの不調を抱えて仕事をしている状態のことをプレゼンティズムと言います。
※日本臓器製薬&東京大学医学部付属病院との共同研究
○腰痛による社会経済的な損失が問題視されている
・腰痛症状の遷延化による医療費の増加、
・労働生産性の低下
・失職、休職などの就労障害による社会的損失
○企業にとっては、アブセンティズム・プレゼンティズムが問題視される
【アブセンティズム】:仕事を休んでいる状態
【プレゼンティズム】:健康の問題を抱えつつも仕事を行っている状態
☆”プレゼンティズムによって生産性が低下し、コストが増大する”
→年間で一人あたり50万円から70万円の損失になるという試算が…
→いずれアブセンティズムへとつながってしまう可能性が…
☆予防的観点からも「プレゼンティズムへの対策」が重要になっている!
企業における生産性の低下につながる職業性腰痛について、対策を講じていく必要性が高まってきているといえるでしょう。
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