2024年2月9日(金)、名古屋で開催されたアシストスーツEXPO in NAGOYA 2024に行ってきました。
今回の特徴は何といっても、体験に特化したイベントになっていることです。
どのアシストスーツを選べば良いかわからない
自分の仕事に合ってるアシストスーツを選定したい
こんな悩みを持っている人には9社のアシストスーツを体験できるまたとない機会になったのではないでしょうか。
オシャレな建物の2階に上がると会場はすでに大にぎわい、熱気であふれていました。受付の方に伺ったところ、午前中はもっと混み合っていたようです。また、初日の2月8日にはメディアの取材も多数あったようでアシストスーツの注目度を改めて認識できました。
では早速、各社おすすめのアシストスーツを見ていきましょう。
マッスルスーツ
まずはじめは、株式会社イノフィス製のマッスルスーツExo-Power(エクソパワー)とマッスルスーツSoft-Power(ソフトパワー)です。
マッスルスーツExo-Power(エクソパワー)は「人工筋肉」と「バネ」の力で最大補助力27kgfで作業時の腰の負担を軽減してくれます。名前のとおりパワフルに重作業現場でもしっかり活躍してくれる予感がしますね。そして、見た目とは裏腹に歩きやすいのも特徴です。
そして、マッスルスーツSoft-Power(ソフトパワー)は何といってもその軽さ。430gでペットボトルより軽いです。さらにこれまでのマッスルスーツのノウハウを活かし腰の負担を35%も軽減してくれます。
メディエイドアシストギア腰ユニット
続いては、日常生活を支える「デイリーケア」、労働者の身体をサポートする「ワーカーズケア」といった分野で『MEDIAID』ブランド製品を拡大展開している日本シグマックス。
メディエイドアシストギア腰ユニットは、前傾姿勢や持ち上げ作業の負担軽減だけでなく、立ちっぱなしなどの長時間の作業姿勢もサポートしてくれます。腰ユニットと製品名にもあるように腰ベルトにより腹腔圧の上昇効果により、腰を安定させててくれます。
ブースにはひっきりなしに来場者が装着体験に訪れ、スタッフの方も大忙し。
日本シグマックスのルーツは「医療」。日常で困りごとを持ちながら日々の生活を送っている方たちに、医療現場で得た確かな知識と技術で、真に効果のあるサポートを提供したい、という思いからメディエイドアシストギア腰ユニットの製作元であるMEDIAID(メディエイド)を作られたようです。
archelis FX スティック
お次は、アルケリス株式会社製の「archelis FX スティック」です。これは、従来のアシストスーツのしゃがむ立つ・中腰サポート等のイメージとは異なり立ち仕事を楽にしてくれる製品です。
私も実際に試してみましたが、ほんとに”立ったまま座る”という表現がピッタリです。医療業界では長時間の手術の際には欠かせないというドクターも多くいらっしゃるようです。
スタッフの方もお客さんがいない時は座って休憩。
で、お客さんが来ればテキパキと。見ていただいたらわかるように、装着したままでもモードを切り替えることでしゃがむこともできます。
自社で使えるかのクイック診断(負荷軽減の見える化)も実施しているようなので、実際に現場で使ってみて体感するのもいいかもしれませんね。今後はクラウド化、Webアプリ化によるデータ解析サービスの提供を目指し、開発を進めているそうです。
レイボ エクソスケルトン
次は、オランダに製造元があるレイボ エクソスケルトン。特徴はエネルギー回生システムを採用していること。『レイボ』の動力源は装着者の運動エネルギーであり、かがむ時に蓄えたパワーを再び身体を起こす力に利用するようです。
2.8kgと製品自体は少し重く感じますが、装着すると特に重さは気になりませんでした。すんなり体にフィットする感じですね。近未来的なデザインでコードが邪魔にならないのかなと思ったのですが、通常の人の動きを邪魔することなくスムーズな動きを実現し中腰姿勢をアシストしてくれます。
アシスト力もエネルギー回生システムにより安定した姿勢保持と、”背面から引っ張る”のではなく”胸から押し上げる”仕組みは心地よいサポートを実現してくれます。
TASK AR Type S
2019年のアシストスーツTASK AR1.0発売以来、300社以上のお客様の声から生まれたのが、「TASK AR Type S」です。 労働災害の中で報告事例の多い「上肢災害」は、ほとんどが勤続疲労によるものです。また、腱板断裂と診断され治療を受けた場合、復帰困難者は33%。肩関節障害は、職業寿命を縮める可能性が大きく、安定的な雇用確保するためには 予防措置が必要です。 そこで、アシストスーツTASK ARは ”腕を上げ続ける作業”をターゲットとしました。(ホームページより抜粋)
今回集まった9社の中では唯一、腕の動き(挙げた状態での保持)をサポートしてくれるアシストスーツになります。一日中中腰も疲れますけど、腕をずっと上げておくのも相当にしんどいと思います。
棚栽培の果樹農園・外構工事・自動車の組立作業などで導入されているようです。
DARWING シリーズ
ダイヤ工業製のDARWINGシリーズから2月1日にリリースされたばかりの「Hakobelude」と「ABC lift」が展示体験できました。
どちらも軽量かつコンパクトで、装着もとても簡単でした。Hakobeludeは高反発ゴムと人工筋肉により強力なサポートを実現。新製品のABC liftは立位時の姿勢もサポートしてくれる感じでした。お値段もリーズナブルでお試ししやすい価格かなと思います。
着るアシストスーツ「CBW」
着るアシストスーツ「CBW」はその名の通り、ズボンとアシストスーツが一体化している製品です。アシスト効果は従来のアシストスーツと同様にしゃがみ動作や中腰、持ち上げ作業などをサポートしてくれます。
オススメポイントはやはり「着れる」というところでしょう。多くのアシストスーツは衣服の上から”装着”するのが一般的ですが、CBWは通勤や勤務中問わず着用可能で、サポートベストのジョイントを外すだけでトイレも可能です。
また、現場に合わせてズボンの色や素材をカスタマイズすることも可能。先ほどのメディエイドの「日本シグマックス株式会社」とワークユニホーム素材を開発・販売する「クラボウ」との共同開発だからこそできるアシストスーツと言えるでしょう。
装着する手間を省き、ユニフォームとして着用できることで「面倒で使わなくなる」というネガティブ要素をなくすことができる画期的な製品でもあるなと思いました。
見た目もアシストスーツを装着している感がほとんどないですよね。上着を羽織れば、余裕で通勤時に電車も乗れると思います。
e.z.UP (イージーアップ)
e.z.UP (イージーアップ)は腕のサポートも一体型になったアシストスーツでフレキシブルな動きに対応でき、さらには軽量化と低価格化を実現している製品です。
腕もサポートしてくれるので、腕を上げっぱなしの作業や持ち上げの際もサポート感があるようです。
MIZUNO POWER ASSIST SUIT
最後はミズノで作られている、MIZUNO POWER ASSIST SUIT。アシストスーツ導入時に困る「楽に着脱したい」「重いと体が疲れる」などの課題を解決し、2022年のクッドデザイン賞も受賞しています。
ウエアのように着用できるのは魅力的ですね、アシスト力も体験者からの「おーーーー」という驚きの声からも十分に力を発揮してくれそうです。
まとめ
今回は名古屋で開催されたアシストスーツEXPO in NAGOYA 2024に参加しました。数年前まではアシストスーツという言葉に馴染みがない人も多く、製品も「高い」「重い」「大きい」「装着に時間がかかる」などのネガティブな要素が多かったですが、今回これらのネガティブな要素はほぼ解決されており、「軽い」「簡単」はスタンダードな基準になってきているなと感じました。
価格に関してはばらつきあるものの価格相応の製品が多く、低価格なものはお試ししやすく、価格が高ければアシスト力に期待できると思います。
また、各社それぞれの強みが活かされた製品が多く、より自身に自社に合ったアシストスーツが選べる時代になってきたなと実感した1日でした。
多くの来場者でにぎわった体験型の展示会、みなさんとても有意義な時間をすごせたのではないでしょうか。私は15時くらいに会場を後にしましたが、その時点でもまだまだ体験されている方がたくさんいらっしゃいました。
今後、アシストスーツの利用者が増えることで腰痛や労働災害の予防ができることを心より願っています。
「アシストスーツEXPO in NAGOYA 2024」
【会場】Terminal 964 Studio & Gallery Nagoya Sakae
【開催】2024年2月8日(木)11:00~17:00
2024年2月9日(金)10:00~17:00
【主催】一般社団法人 アシストスーツ協会
written by コージ・ヤマモト(理学療法士)