介護現場では、職員の腰痛や疲労、慢性的な人手不足が大きな課題となっています。
事実、「腰痛が原因での離職が多い」や「職場の高齢化が進む中での人手不足」に悩む施設が増えてきています。
このような現状を改善するために注目されているのが、「ノーリフトケア」と「アシストスーツ」です。
ノーリフトケアは介護現場での導入が進んできている新しい介護の考え方とその手法であり、アシストスーツは介護現場における腰痛を防ぐために注目されている腰痛対策のひとつです。
「ノーリフトケアは『持ち上げない』ことを基本理念としているため、アシストスーツの導入とは相反するのでは?」という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、この2つのアプローチは対立するものではなく、相互補完的に活用できる関係にあるかもしれません。
本記事では、この2つの取り組みがどのように現場の課題を解決し、介護現場の未来を変えるのか、その概要を考えてみたいと思います。
ノーリフトケアとは
持ち上げない介護で負担を軽減
ノーリフトケアは、力に頼った介助方法を見直し、「持ち上げない」「抱え上げない」を実現する手法です。
例えば、スライディングボードを使用したベッド間の移動や吊り上げ式リフトを利用した移乗があります。
このような専用の福祉用具を活用することで、以下のメリットが得られます:
- 職員の腰痛発生率が低下
- 利用者の安全性向上
- 介護業務の効率化
スライディングシートや吊り上げ式リフトなどの福祉用具を使用すれば、介護者の身体的負担を大幅に減らすことが可能です。
アシストスーツとは
介護職の新たなパートナー
アシストスーツは、介護者の腰や膝をサポートする装着型補助具で、業務中の負担を軽減します。
特に介護現場向けの軽量タイプは、女性や年配の職員でも使いやすい設計になっています。
アシストスーツの主な効果:
- 腰部の負担を軽減し、腰痛リスクを低下
- 動作を補助し、疲労を軽減
- 福祉用具との併用で作業効率アップ
介護現場でのアシストスーツの使用場面:
- 中腰前傾姿勢での作業(体位交換・更衣・清拭・着脱など)
- 移乗介助
- 入浴介助
- トイレ内などでの立位保持の介助
- 立ち仕事での姿勢サポート
ノーリフトケア × アシストスーツの組み合わせ効果
これらを組み合わせることで、介護現場は次のようなメリットを享受できます:
- 作業負担のさらなる軽減
- 職員の健康管理が向上
- 利用者への質の高いケアの提供
ノーリフトケアとアシストスーツの連携は、現場に革新をもたらす可能性を秘めています。
取り組みには、「適切な教育とトレーニング」が重要になります。
ノーリフトケアとアシストスーツ:異なるアプローチの共存で現場を支える
ノーリフトケアとアシストスーツの役割の違い
ノーリフトケアの目指すところは、職員が重い体重を直接持ち上げたり支えたりすることを避けるために、福祉用具や適切な技術を活用することです。
一方、アシストスーツは、福祉用具だけでは補えない介護者の身体的負担を軽減するためのサポートツールです。
例えば、次のようなシーンで両者が共存できます:
スライディングシートの使用時: 体位変換や移乗補助の際、ノーリフトケアに基づく手法を実践しつつ、アシストスーツを装着することで腰への負担が軽減されます。
利用者の体重が重い場合: 完全に「持ち上げない」状態を維持できない場合も、アシストスーツが職員の体をサポートします。
さらに大事な点として、ノーリフトケアとアシストスーツの導入は完全に同時に行われるわけではありません。
例えば、「小規模施設ではアシストスーツを主に使用し、大規模施設ではノーリフトケアの福祉用具と併用する」といった施設ごとの実情に合わせて取り組みを進めていくことが肝要です。
考え方の共存:現場の現実を踏まえた選択
ノーリフトケアが理想的な形で実践されるには、十分な設備や人員、時間が必要です。
しかし、介護現場では必ずしも理想的な条件が揃うわけではありません。
アシストスーツは、ノーリフトケアの導入を補完し、以下のような効果を発揮します:
- 福祉用具の操作をサポートし、職員の疲労を軽減する
- 時間的制約や緊急時に、作業者の負担を軽減するための「保険」として機能する
- 身体的な限界がある場合でも、無理をせず安全に作業を遂行できる環境を整える。
現場に合わせた柔軟な対応が重要
ノーリフトケアとアシストスーツは、理念や目的が異なるため、全ての現場で同じように適用されるわけではありません。しかし、どちらも「職員の健康を守り、安全な介護を実現する」という共通のゴールを持っています。これらを現場の状況に応じて柔軟に組み合わせることが、真に効果的な介護環境を作り上げる鍵となります。
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まとめ
ノーリフトケアとアシストスーツの未来の可能性について、ノーリフトケアとアシストスーツは、それぞれ異なるアプローチで介護現場の課題解決を目指していますが、互いを補完しあうことでさらに効果を発揮します。
ノーリフトケアは「持ち上げない」ことで職員と利用者の安全を守り、アシストスーツはその補助として身体的負担を軽減します。
現場に応じた柔軟な導入が重要であり、すべての施設にとって最適なソリューションが異なることを理解する必要があります。また、これらの取組を進めることで、職員の健康管理が向上し、介護の質の向上にもつながります。
ノーリフトケアとアシストスーツの両方を活用することで、現場の革新が可能になり、未来の介護をより持続可能で安全なものに変えることが期待されています。
作成:逢坂大輔(理学療法士・作業管理士・アシストスーツアドバイザー)