現代の職場では、腰痛や転倒リスクが重大な労働災害の原因となっています。特に、製造業や介護現場など、身体的な負担が大きい環境では、これらのリスクを管理し、予防することが非常に重要です。本特集では、最先端の可視化ツールを用いて、労働環境の安全性を高める方法を探ります。PosCheck、Malpos Major、LBPP、StA2BLEといったツールを中心に、それぞれの特徴や導入メリットを詳しく解説します。
腰痛リスクの可視化
PosCheck(ポスチェック)
株式会社バイオネット研究所
概要
PosCheckは、バイオネット株式会社が提供する革新的な腰痛リスク可視化ツールです。3Dカメラを使用して作業者の姿勢をリアルタイムでモニタリングし、負荷を定量的に評価します。このシステムは、特に製造業や物流業界など、作業負荷が大きい現場での労働環境改善に貢献します。
特徴
- 簡単設定で自動計測
設定が簡単で、3Dカメラを使って撮影するだけで作業者の負荷を自動判定します。 - 立体計測技術とAI
最新のAIと立体計測技術を組み合わせ、姿勢を詳細に分析します。 - 国際的な作業負荷評価ツールOWAS法による評価
作業負荷をOWAS法に基づいて自動判定し、作業の見える化を実現します。 - 長時間連続測定
1秒単位での計測が可能で、12時間連続で作業状況をモニタリングします。 - 姿勢の多様な判定
立位、前屈、後屈、膝曲げ、腕上げなど、さまざまな姿勢を自動で判定し、作業負荷の時系列変化を視覚化します。
導入のメリット
デジタル技術を活用した新しい現場改善や生産性向上が可能です。作業者の負荷を数値化することで、問題点と対策を明確化し、改善前後の比較により効果をエビデンスとして示すことができます。
デバイス構成
3Dカメラ、パソコン、専用ソフトウェア
導入実績
PosCheckは、大手企業や上場企業、病院、大学などで広く活用されています。特に工場や作業現場での中腰や前傾動作の定量的把握、工程別の作業負荷量の把握、危険な姿勢の発見、事故発生時の定量的把握に利用されています。
公式サイト
https://bio-net.co.jp/poscheck/#
「PosCheckは、労働環境の安全性を高めるために不可欠なツールです。リアルタイムでの姿勢解析と作業負荷の見える化により、リスクの早期発見が可能となり、作業者の健康と生産性の向上に大きく貢献します。」
Malpos Major® / マルポスメジャー
日本ケアリフトサービス株式会社
概要
Malpos Major®は、日本ケアリフトサービス株式会社が開発した、介護施設での腰痛リスクを計測し見える化するツールです。専用デバイスをコルセット型の本体に組み込み、介護職員が勤務時間中に腰に装着して計測を行います。データはクラウドで管理され、スマートフォンまたはタブレット端末の専用アプリで、リスクの高い時間帯や頻度を可視化できます。
特徴
- 腰痛リスクの見える化: 前傾回数、前傾時間、ひねり回数、ひねり時間などのデータを計測し、リスクを把握。
- データ管理と解析: クラウドで管理されたデータは、専用アプリで確認し、対策を立てられます。
- 介護施設向け: 労働環境の改善と持続可能な運営に貢献します。
導入のメリット
•労働環境の改善
リスクの高い動作を見える化し、職員の負担軽減と安全性向上を図ります。
•持続可能な運営支援
労働災害リスクを減らし、施設の持続可能な運営に寄与します。
デバイス構成
•コルセット型の本体
•スマートフォンまたはタブレット端末
その他
•サーベイパック: 2回の計測で構成され、1回目の計測で現状把握と課題抽出、2回目の計測で改善の進捗と効果検証が可能です。
公式サイト
「Malpos Major®は、腰痛リスクの定量化を通じて、介護職員の健康を守るだけでなく、介護施設全体の労働環境の質を高めるための重要なツールです。リスクの見える化により、適切な対策を講じることで、腰痛による離職や事故を未然に防ぐことができます。」
LBPP – 腰痛予防スマートデバイス
株式会社メディアロボテック
概要
LBPPは、株式会社メディアロボテックが開発した腰痛予防スマートデバイスで、医療や介護の現場での使用を想定しています。Androidスマートフォンアプリと連動し、作業中に腰に負担がかかる前傾姿勢やひねり動作を検出し、アラームで警告を発します。トレーニングモードでは、ビデオ録画機能を用いて作業姿勢の確認や研修に活用できます。
特徴
- 小型デバイス: 小型のデバイス本体は、胸ポケットに入れる形式で、作業中に邪魔にならないのが特徴です。
- アラーム機能: 腰に負担がかかる動作を検出し、リアルタイムで警告。
- トレーニングモード: ビデオ録画を用いて、作業姿勢の確認が可能。
操作手順
- アプリを起動し、デバイスとペアリング
- デバイスを胸ポケットに入れてから、5秒間のキャリブレーション後に測定開始
- 計測中に無理な姿勢をとると、注意報や警報が通知
導入メリット
•リアルタイムの腰痛予防: リアルタイムで警告が発せられ、腰痛を予防。
•教育現場での活用: 医療・介護関連の教育や研修に有効。
デバイス構成
•本体とスマートフォンで構成
公式サイト
https://www.mediarobotech.co.jp/lbpp
「LBPPは、現場でのリアルタイムな腰痛リスク管理を可能にするだけでなく、教育や研修のツールとしても優れた機能を提供します。腰痛予防のために、即時のフィードバックを受けることができるこのデバイスは、作業の安全性を高めるだけでなく、実習生や職員の教育にも大いに役立つでしょう。」
転倒リスク可視化
StABLE (ステイブル)
UNTRACKED株式会社
概要
StABLEは、UNTRACKED社が開発した、転倒リスクをわずか1分で計測できる世界初の技術です。このツールは、ヒトが何かに触れることで安定する「ライトタッチ」という現象を応用し、「立位年齢」という新しい指標を算出します。企業や高齢者福祉施設、健康診断、スポーツジムなどで広く使用されています。
特徴
- 迅速な計測: 転倒リスクをわずか1分で評価可能。仮想壁(振動刺激)を用いてふらつきを誘発し、内在する立位機能を評価します。
- ライトタッチ現象の応用: 「立位年齢」という新たな指標を用いて、転倒リスクを評価します。
- 多用途の活用: 企業、福祉施設、スポーツジムなどで活用され、労働現場や介護施設における転倒事故対策にも役立ちます。
デバイス構成
•StABLEセット: センサーとユニットで構成。
•立位年齢基本評価セット: 上記に加えてWebカメラ、重心動揺計、解析ソフトが含まれます。
活用のサイクル
労働現場や介護施設では、StABLEを用いて「転倒リスク評価→転倒予防体操→再評価」のサイクルを回すことで、転倒事故に強い環境づくりを目指します。また、介護施設での使用により、転倒リスクを分析し、必要な転倒予防体操を提案することも可能です。
公式サイト
https://sta2ble.untracked.co.jp/
「StA2BLEは、転倒リスクの早期発見と対策を可能にする画期的なツールです。特に高齢者や作業者の安全を確保するために、この技術を活用することで、事故の予防に大きく貢献できます。日常的な健康管理やリスク評価に欠かせないデバイスとなるでしょう。」
締めくくり
腰痛や転倒リスクの可視化ツールを活用することで、労働環境の安全性を飛躍的に向上させることが可能です。これらのツールは、大切な従業員の健康を守り、事故を未然に防ぐための強力なパートナーとなります。
ぜひ、これらの技術を積極的に導入し、職場の安全文化をさらに強化していきましょう。
作成者:逢坂大輔(理学療法士・作業管理士)