株式会社シーエフロボタス

アシストスーツの効果検証と腰痛予防について

みなさん、いつものお仕事ではどれくらいの重さのモノを持ち上げたり運んだりされていますか?

このページをご覧になるということは、少なからず持ち上げ作業などでの腰の負担軽減を気にされているかと思います。

ここでは、最近ラインナップが増えてきたパワーアシストスーツの腰痛予防に対する期待や効果のある使い方について解説していきたいと思います。

重いものを持ち上げる作業や、中腰を続ける作業からくる腰への負担によって、腰痛を引き起こすリスクが高まることはご存じの通りかと思います。
アシストスーツは重量物の持ち上げ作業や中腰姿勢での作業等における腰部への負担軽減を目的に各社から開発リリースされています。

持ち上げ動作についてですが、実は2通りのやり方がありそれぞれ名前がついています。

Stoop lifting法:膝を伸ばしたまま体幹を前屈し、屈めた上体を戻すやり方

Squat lifting法:膝を曲げてしゃがみこむような形で荷物を持ち、膝を伸ばしつつ上体を戻すやり方

Stoop法は日常的によく用いられているようですが、脊柱起立筋の活動が多くなり腰の動きにのみ頼るやり方ですので、腰痛リスクが高くおススメできないやり方です。
さらに、ハムストリングス(大腿部後面の筋肉)が固い人にはより負担が大きいとされています(ハムストリングスの固い人は腰痛になりやすいとされています)。

対してSquat法は、体幹の前傾が少なく脚の力と腰背筋の力を用い、使用する筋肉を分散した効率の良いやり方です。
体幹の前傾とともに骨盤前傾を少し意識する持ち上げ動作のため、筋活動や椎間板にかかる圧縮力の負担が少ないとされています。

厚生労働省の腰痛対策でも膝を曲げて行うSquat法が推奨されています。

しかしながら様々な作業環境や内容、限られたスペースなどの都合により必ずしもSquat法ができず、膝を伸ばしたまま行うStoop法で荷物を持ち上げる時もあるという声を聞いています。

では、持ち上げ作業での腰への負荷についてみてみましょう。

空気圧印加型アシストスーツを使用した検証がされていますので内容をご紹介します。


「筋骨格シュミレーションに基づいた内骨格型パワーアシストスーツの補助効果検証」 2017.9 猪瀬洸樹ら 日本ロボット学会誌

床に置いた15kgの物体をStoop Lifting法により持ち上げ、体幹を0度付近まで戻す作業の実験における筋電図解析は、

・スーツ着用時のEMG(筋電):平均18.1%

・スーツなし時のEMG:平均38.1%

⇒ 着用時のEMGが非着用時と比べて最大随意収縮に対して約20%減少した。

という結果が報告されています。

持ち上げ作業でのEMGが少なくなるということはすなわち作業において必要とされる筋活動が少なくて済むということになるので、アシストスーツを着用することで筋活動を少なくし腰部筋への負担を減らすことにつながります。

また、トルクの伝達率については、30.4%であったと報告されています。これはスーツのベルトや衣服とのズレによるものと考えられるため、身体にしっかりとフィットする着用が重要になってきます。

アシストスーツは体幹を前屈した状態から戻す動きをアシストしてくれますので、床面もしくは足部付近から持ち上げる動きに対して最大限の体幹伸展方向へのアシストを発揮します。

さらに中腰姿勢を保持した作業環境についてもみていきたいと思います。

最近は中腰サポート機能が備わっているアシストスーツが増えてきています。

中腰サポート機能とは、身体を前傾させ肩ベルトにもたれかかることができ中腰の姿勢保持が楽になるようにアシストしてくれる機能で、アシストスーツに身をゆだねるようになります。

先ほどの実験ではさらに、上体を起こさず常に中腰姿勢のまま作業を行う実験もされています。

地面から45cmの台に3段積上げられた5kgの物体を80cm離れた同じ高さの台に一つずつ移動するときの筋電解析は、

・スーツ着用時:平均10.7%

・スーツなし時:平均21.2%

・発生力の伝達率:87.7%

⇒ おおよそ理論値と同様のアシストトルクが発生していたと考えられるとしています。

☆持ち上げ作業に比べて中腰姿勢保持アシストの伝達率が向上したのは、姿勢変化が少なく身体にフィットした形で力のロスが少なく済んだとしています。



☆アシスト力の伝達率☆

・持ち上げ作業:ベルト調整などで身体にフィットさせることで理論値との乖離を少なくすることが重要

・中腰姿勢保持:上体の上がり下がりが少ないためベルトのズレが少ない

※中腰姿勢は、常に腰部筋に負荷がかかっている状態なので腰部の疲労や腰痛リスクは高い姿勢です。



中腰の姿勢で隣の作業台に身体を向けるといった「腰をひねる動き」は、腰ヘルニア誘発の危険度大!なのです。

持ち上げによる腰トルクの増大 + ひねり置き動作 =腰ヘルニア誘発の危険度大!

したがって、中腰アシストに加えて、片脚を後ろへ引いてからひねり置き動作を行うなどの姿勢の工夫も必要です。

最後に、労働安全衛生の観点からみたアシストスーツの有用性についてご紹介します。


腰痛予防の取り組みとして、厚生労働省では作業管理作業環境管理ならびに健康管理を挙げています。

作業姿勢・動作の改善や作業環境温度管理、作業前後のストレッチ等、具体的な腰痛予防の対策を提唱しています。

人力のみにより取り扱う物の重量は、男性では体重のおおむね40%以下にすることが望ましい。

女性労働者では男性が取り扱うことのできる重量の60%体重の24%)くらいまでとするように定めています。

最近では特に、女性労働者やシニア労働者が持ち上げ等の作業を行う機会が増えています。

これらのことからも、持ち上げなどの作業において腰を守る対策によって身体を労り長く働き続けることができる環境を整えることが重要です。


また、アシストスーツ自体の重量も考えておかなければならないポイントです。
モーター駆動方式のアシストスーツでは大体4kg以上の重量となっています。

装着する人の体格に応じて装着感は変わってくるのですが、重すぎるアシストスーツは膝などにも負担をかけてしまうことも考えられますので注意が必要です。

実際に作業する環境で少なくとも一週間は試してみることをおすすめしています。

当社では、はたらく人の腰を守る発想として、アシストスーツの導入をおすすめしております。

導入検討についてのご相談やセミナー等の実施についてもご相談を承っております。

作成者:逢坂大輔(理学療法士・作業管理士)

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